体に良い漆喰は100%自然素材

独特の質感と風合いで和風・洋風問わずあらゆる部屋の雰囲気にマッチする漆喰壁。

漆喰には主に、石灰岩からとれる「石灰漆喰」と、貝の殻からとれる「貝灰漆喰」の二種類があります。どちらも自然由来で“体に優しい壁材”として注目を浴びています。

そんな環境にも優しい建材として知られる漆喰が「体に悪い」という噂も。そこで今回は、漆喰が体に悪いと言われる理由について解説していきます。

さらに、近年トレンドになりつつある漆喰DIYをする時の注意点についても説明します。
自宅へ導入をご計画中の方は、壁材選びの参考にしてください。

漆喰が体に悪いと言われる理由は?

漆喰が体に悪いと言われる理由は、大きく分けて4つあります。
1.漆喰に含まれる消石灰が強アルカリ性
2.安価な漆喰の使用による健康被害
3.施工不良による体への影響
4.漆喰はメンテナンスが大変

ただし、この理由は、漆喰の人体に対する影響を調べた時によく見かけるものです。「本当に正しいものなのか」も含めてそれぞれ、1つずつ順番に見ていきましょう。

1.漆喰に含まれる消石灰が強アルカリ性

漆喰が体に悪いと言われる1つめの理由は、漆喰に含まれる消石灰が強アルカリ性であることが挙げられます。
結論から言いえば、漆喰が強アルカリ性の特徴を発揮する時は危険です。

なぜなら、漆喰が強アルカリ性の時には「化学熱傷(やけど)」「目に入ると失明する」などのリスクがあると言われているからです。

漆喰は、pH(液体の酸性・アルカリ性の程度を表す指標)において、約pH13はあるので、最大値に近いアルカリ性と言えます。
※pHは0〜14の数値で表されます。
pH7を中性とし、7より小さい場合は酸性、大きい場合はアルカリ性です。

ただし、危険なのは「粉状態」「ペースト状態」の時だけで、壁に塗った後の乾いた状態であれば安全です

・強アルカリ性によるメリット

一方で、アルカリ性が強いことは、漆喰のメリットでもあります。
理由は、”防カビ”や”抗菌作用”があるからです。

例えば、普段生活をしていてもアルカリ性のものとして、海水・重曹・石けん・カビ取り剤・洗濯洗剤などがあります。

特にお風呂場や台所などの掃除や消毒する際に、キッチンハイターや洗濯洗剤は重宝するものです。
強アルカリ性で人体に影響があるものの、用法容量を守って使えば、そのリスクは回避できますし、生活をより快適にしてくれるアイテムです。

漆喰には「失明」や「化学熱傷」などの言葉だけを切り取れば、怖い印象を持つ方もいらっしゃると思います。しかし、漆喰は洗剤と一緒で、使い方をきちんと理解し守れば人間に寄り添った建材でもあります。

また、「漆喰は壁に塗ったまま放置しているから危ないのではないか」という疑問を持たれる方もいるのではないでしょうか。

前述したように、漆喰が強アルカリ性の状態になるのは、「粉」と「ペースト」状態の時だけです。

一度、乾いてしまえばその表面は中性化されるため、肌に触れても支障はありません。(ただし、完全な自然由来のものに限る)

ちなみに、粉とペースト状ではリスク度合いが違います。
その違いについて詳しく説明しますので、見ていきましょう。

・粉状態の場合のリスク:高い

粉の状態は、強アルカリ性になる前の段階です。水気を含むことで強アルカリ性に変わります。

仮に漆喰DIYをする場合、粉の段階で目に入ると、目の中の水分により強アルカリ性の特徴を持つことになります。
決して多くはない水分量でも急激に特性が変わるので、漆喰DIYをする場合、ゴーグルの着用は必須です。

また、衣服の中に入ると、ご自身の汗などの水分で強アルカリ性の特徴を持ち、化学熱傷を引き起こすことも。
粉の状態での扱いには、不慣れな人、専門家問わず注意が必要です。

・ペースト状態の場合のリスク:低い

ペースト状態の場合は、既に一定量の水分を含み混ぜ込まれているため、少し注意を払うだけで問題ありません。
粉状態のように軽い形状ではないため、服や目の中に入る可能性が格段に低くなります。

しかし、1点補足しておきたいことがあります。それは、肌についたとしても全員が肌荒れを引き起こすわけではないということです。
なぜなら、肌には油成分で構成された皮脂膜により覆われているため、すぐには漆喰が浸透することはないからです。

もちろん、肌質上でアルカリに弱い方や乾燥肌の人は、赤くなることもあります。しかし、漆喰が肌についたらすぐに洗い流すことで解消できるということは、念頭に入れておいてくださいね。

また、そもそもご自身で漆喰を扱う時は、以下の点について気をつけましょう。

・軍手などの手袋を着用して手につかないようにする
・目に入らないようにゴーグルをつける
 

このように事前に意識を向けて準備することで、リスクを減らすことは可能となります。

2.安価な漆喰の使用による健康被害

漆喰が体に悪いと言われる2つめの理由は、本物の漆喰と偽物の漆喰で主原料に違いがあることが挙げられます。本物の漆喰だと思って購入、入手したものが純度100%ではなかったということです。

実は、ホームセンターなどで販売している漆喰の中には塗りやすくするための工夫として、接着剤や化学合成剤が練り込まれていることがあります。

そのため、漆喰を壁材として使うことを検討されている方の中で
「体に良いものだけを使いたい」
「自然素材の落ちついた空間にしたい」という理由ならば、商品の成分表記やメーカーに何が配合されているか確認をとりましょう。

また、一般の方が工務店に施工を頼んだ場合、材料指定をしていないのであれば、何が使用されているか分かりません。

加えて、世の中には下記2種類の漆喰が出回っています。
・自然素材100%の漆喰
・化学接着剤や合成物質が添加された漆喰

工務店や住宅メーカーなどプロの建築業者でさえ見落とされることもあるほどです。

自然由来でない漆喰を使うことでシックハウス症候群に悩まされている方をはじめ、健康な方であっても「漆喰を塗った後の家で体調が良くない」「塗っている過程で気分が悪くなった」などの症状が出た事例もあるほどです。

漆喰が体に良いと思ったから使ったのに、そもそも漆喰と呼べるものではなかったということにもなりかねません。

確かに漆喰は、塗料やクロスよりも高額です。
しかし、家を建てた後、壁を塗り直した後に住むのは自分自身です。
金額だけにこだわるのではなく、使う素材の確認をしてください。
後悔しないためにも、本物の漆喰を使いましょう。

3.施工不良による健康被害

漆喰が体に悪いと言われる3つめの理由は、漆喰はアレルギーの心配があるということです。
漆喰壁の施工が不良であると、漆喰の粉塵や成分が室内に放出され、具体的には、アレルギーやぜんそく、皮膚炎などの症状が出ることがあります。

漆喰にアレルギー物質は入っていません。漆喰には主に、石灰岩からとれる「石灰漆喰」と、貝の殻からとれる「貝灰漆喰」の二種類があります。どちらも自然由来です。

『THE FUN housei』で使用する貝灰漆喰の主原料、地元有明海で採れた赤貝の殻

そして、スサと言う植物の繊維と糊、水などを混ぜてつくられています。このように自然由来の組み合わせから構成されている漆喰であれば、品質は担保されています。

その反対に、前述したように漆喰ですと、接着剤など合成物質が混じっているためアレルギー反応が出るかもしれません。
しかし、天然由来の漆喰であれば問題ないといえるでしょう。

漆喰はアレルギー対策になる

漆喰にはアレルギー物質は含まれていないことを説明してきました。それどころか、漆喰はアレルギーを防いでくれる効果が期待できます。

アレルギーを引き起こす原因として、代表的なものはカビや細菌です。カビや細菌が室内で繁殖しやすい理由としては、室内の気密性から密閉空間になりやすいことが挙げられます。

漆喰は、強アルカリ性という特徴からカビを含めて菌類が生存しにくい環境を作れるため、カビや細菌の繁殖を防止する効果があるといえるのです。

また、アレルギーの原因となる有害物質の1つにある、ホルムアルデヒドは、吸い込むことで目に違和感を覚えたり、喉が乾燥したりするシックハウス症候群を引き起こすリスクがあります。

漆喰には、このホルムアルデヒドを吸い取り、分解する効果もあるのです。
漆喰は、極めて優秀な建材と言えるでしょう。

4.漆喰はメンテナンスが大変

漆喰が体に悪いと言われる4つ目の理由に、漆喰が塗り壁ということから、メンテナンスの大変さがストレスになるというイメージがあることです。

しかし、漆喰は硬く固まり崩れづらいため、簡単に補修作業やメンテナンスができます。そして何より掃除が比較的簡単です。

例えば、漆喰は静電気が生じにくいため埃が付きづらい性質があります。
その周囲の家電や家具周りの裏側には埃がたまることもありますが、掃除機で吸い込んだり、はたきをかけたりするだけで済みます。

また、汚れの種類によって清掃方法は変わるのですが、水拭きで汚れを落とすことも可能です。これは漆喰が硬く仕上がるという特性だからこそできることだと言えます。

水拭きができるとはいえ、強く擦りすぎることで表面の独特の風合いを変えたり、汚れを広げたりする可能性もあるので、注意は必要です。

このように漆喰は、通常のメンテナンスに手間がかからず、簡単であることは、大きなメリットと言えるでしょう。

漆喰DIYをする時の危険性と対策

これまでに漆喰が体に悪いと言われる4つの理由ついて詳しく解説してきました。
ここからは、漆喰DIYをする時の危険性と対策について説明します

これらを知ることで、自宅で漆喰DIYを実践する時のリスクを回避できるだけでなく、さらに漆喰のある快適な生活を楽しむことができるようになるので、ぜひ参考にしてください。

具体的にお伝えしたい内容は、下記の2つです。
1.漆喰が目に入ったら失明の可能性がある
2.化学熱傷することがある

それでは、1つずつ順番に見ていきましょう。

1.漆喰が目に入ったら失明の可能性がある

漆喰DIYをする時に気をつけたいことの1つめは、漆喰が目に入ったら失明の可能性があることです。

ネットの情報や専門業者から「漆喰が目に入ったら、失明するから気をつけてください」という言葉がありますが、実際に知人で漆喰を扱っていて目に入るという体験をした人から話を聞きました。

「漆喰が1度目に入ると、とにかく痛くて我慢ができない。」
「時間が経つにつれ、かなり膨れ上がる。」
このような言葉が返ってきました。

漆喰は、目に入った時に角膜(たんぱく質)を分解し始めます。
これは冒頭でもお伝えしたように漆喰が、水分を含むと強アルカリ性の性質を持つためです。

 しかし、いきなり失明をするわけではありません。消石灰が完全に浸透し、溶かし終える前に流し出せれば、被害を最小限に止めることができます。
 
もし、目に入った場合はいち早く眼科に行き診察を受けてください。自然素材ですら激痛なので、接着剤や化学物質が混じった漆喰だと、よりリスクは増えます。

また、事前に目に入らないための防止策は、”保護メガネ”を活用することです。自分だけ大丈夫ということは、ありません。
しっかり事前準備をしてからDIYをしてください。

2.化学熱傷することがある

漆喰DIYをする時に気をつけたいことの2つめは、化学熱傷するリスクが挙げられます。化学熱傷とは、漆喰のアルカリ性が皮脂を溶かして火傷に近い症状を起こすことです。

例えば、水分を多く含み肌に浸透しやすい状態は、化学熱傷になりやすいです。より具体的に言いますと、軍手などの手袋をして漆喰がついた状態で道具などを洗うと、肌に染み込みやすくなります。

そのため、手袋を着用する際は、使い捨てのビニール手袋が理想です。
漆喰DIYをする時は、必ず手袋をして自分の身を守ってください。

安心・安全な作業のために事前にプロに確認

漆喰DIYをする場合、事前に自分で色々調べたり、必要な用具を揃えたりと、準備の段階でも労力を要します。

そして、塗り方が非常に重要です。綺麗に塗るだけでも難しい上に、少し模様をつけたいなどする場合はコテを使う作業も発生しますので、難易度はさらに上がります。

もし、失敗をすると、もう一度一面を塗り直したりすることにもなりかねません。天井部分も難しく、想像している以上にストレスのかかる作業となるのです。

そのため、事前に漆喰について理解することは必須と言えます。

専門家が実践していることを模倣する前に、必要な道具、作業の内容や目的などを把握することで、安心・安全な作業が可能となります。

漆喰が体に悪いと言われる理由のまとめ

漆喰というと「メンテナンスに手間がかかりハードルが高い」「アレルギーを引き起こすのではないか」というイメージがあるかもしれません。

ですが、これまでに見てきたように、自然由来の成分で健康に良いですし、ホコリをはたいたり、水拭きだけでメンテナンスが済むなど、手間はそれほどかかりません。知識と経験さえあれば、誰でも自宅に取り入れられ、生活を快適にしてくれるのです。

また、漆喰は人間や動物が住み続ける地球環境を保全する役割も担ってくれています。
昨今、漆喰が静かな賑わいを見せていますが、そもそも漆喰は何千年も前から建材として使われてきました。
つまり、文化としては新しいものではありません。
漆喰にはどうしても下記のような印象を持たれやすいです。

・建材としては手間はかかり、職人により仕上がりもムラができやすい
・工期もかかるし、予算もかかる

ただし、これはビニールクロスを基準に比較した時の話です。確かに、ビニールクロスだと単発的に見たら費用も安く済みます。
ですが、長い目で見たら環境や金銭的にも負担が増えやすい材料でもあります。

なぜなら、クロスは耐用年数が6年と経年劣化しやすい性質があるからです。
例えば、ビニールクロスは傷がついたり汚れたりすると、そこだけピンポイントで貼り替えも必要です。30〜40年住んでいれば、引越のタイミングで次ぎに住む人のためにクロスに変えないと新品らしさは出せません。

一方で、漆喰壁は、傷がついても少し塗ってしまえば分からないくらいメンテナンスがしやすいです。さらに何十年、何百年と長期間に渡り愛される家へと変化し、孫の代までバトンを繋ぐことができるでしょう。

『THE FUN house』では、地球と人に優しい漆喰壁、無垢の木を材料とした床・天井など自然素材の家作りに取り組んでいます。
モデルハウスや完成見学会では、そんな自然素材が持つ魅力や居心地の良さ、住まう人をファンにする理由を理解していただけるはずです。ぜひ、一度ご来場ください。

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