トイレの漆喰壁メリット・デメリット
「トイレ掃除しても嫌なにおいがすぐ出てくる」
「トイレ内にカビが生えやすくて困る」
「トイレの壁に漆喰を塗りたいけど、メンテナンスが大変そう」
このようなお悩みを持っていませんか?
長年住んだ家のトイレは、蓄積されたアンモニア臭が鼻を刺激し、不愉快に感じる人も多いはずです。また、トイレ内では湿気が溜まりやすいことから、湿度が高まりカビの発生や掃除に悩まされることも。
このような場合、壁を漆喰にすることでにおいを軽減したり、室内の湿度を調整してカビの繁殖を防ぐ効果も期待できます。
一方で、漆喰は、清掃やメンテナンスには手間がかかりそうとイメージしている方もいると思います。
そこで、今回はトイレの壁を漆喰にするメリットとデメリットについて解説します。
漆喰壁の掃除法やDIYをする具体的な手順や注意点もご紹介しますので、これからご自宅のトイレをリフォームする予定の方や、新たにご自宅をご計画中の方は、ぜひ壁材選びの参考にしてください。
▼目次
トイレの壁を漆喰にするメリット
トイレの壁に漆喰を使うメリットとデメリットを適切に理解し、快適に過ごせるトイレ空間の実現に繋げましょう。
1.見た目の雰囲気がよくなる
トイレは、閉鎖的で小さな空間であることから圧迫感がありますが、漆喰壁ならでおしゃれで個性的な空間を演出してくれます。
例えば、白い漆喰壁なら爽やかで明るい雰囲気になります。色も調合により多様にできるので、グレーなど落ち着いたナチュラルな空間に変えることもできます。
さらに、漆喰壁ならちょっとした小物、花瓶、花といったインテリアが際立ちます。インテリアの魅力も引きだしつつ、おしゃれで特別な空間を演出してくれます。
2.調湿性能によるカビの防止
漆喰壁は余分な湿気を吸収し、必要な時に放出してくれる調湿性があります。特にトイレの空間は湿気が溜まりやすく、湿度調整が必要な空間なので漆喰壁が最適です。
例えば、梅雨時期のように湿気が多くジメジメする日だと、漆喰が水分を吸収することで部屋の湿度を下げ、過ごしやすい空間を実現してくれます。
一方で、冬時期のように乾燥した空間では、漆喰が溜め込んでいた水分を室内に放出し、加湿してくれます。
このように、漆喰壁は適切な湿度調整をしてくれるので、カビやダニなどの発生を防止し、快適なトイレ空間を作り続けてくれます。
ただし、一般的な漆喰の調湿性能は、40g/㎡/24h位のため、トイレの壁全体に漆喰を塗ることをおすすめします。
3.消臭性能によるにおいの軽減
漆喰には、吸水性とともに多孔性があるため、水分と一緒に悪臭成分であるアンモニアなどを吸収し、分解する脱臭効果があります。
さらに、換気をするとともに屋外に悪臭成分も排出してくれることから、繰り返し消臭効果を発揮してくれます。
そのため、トイレ専用の消臭剤を使用しなくてもにおいは気にならなくなり、爽やかで快適な空間を維持し続けてくれるのです。このように脱臭作用があるという点において、漆喰壁はトイレに最適だといえるでしょう。
4.最低限のメンテナンスだけで維持
漆喰の調湿性や消臭性は、除湿剤や消臭剤のような使用期限はありません。
また、漆喰は傷や汚れなども補修できます。ビニールクロスのように劣化が早く、新しさを出すために定期的に張り替える必要もありません。
お手入れは、定期的に水拭き掃除や汚れた時に消しゴムで汚れを消したりする程度です。尿跳ねなどの場合は、別で清掃は必要ですが、それ以外では基本的にメンテナンスは不要となります。
トイレの壁を漆喰にするデメリット
続いて、トイレ壁面に漆喰を塗るデメリットについて1つずつ順番に説明していきます。
1.沁み込んだ汚れは落としづらい
漆喰壁は、漆喰内部にある目に見えないほどの小さな隙間に水蒸気を吸収することで、優れた調湿性や消臭性を発揮します。
しかし、裏を返せば、その隙間に汚れを含んだ水分が付着すると、簡単には掃除が難しいということです。手垢や水滴などは簡単に落とすことができますが、尿の飛沫汚れなどは落としづらくなります。
2.部屋内が狭くDIYしづらい
トイレ内は、約1畳ほどの狭い部屋になり、角が4箇所もあることから作業もしづらく難易度が高い場所です。
例えば、コテ板を持って作業する時に、漆喰を塗り終わった壁に体や道具をこするなどして、塗り直しせざるを得ない場合もあります。
塗ったばかりであれば、すぐに修正できますが、少し乾いた後では手直しした部分が目立つので、全面を塗り直しになることも。
このように、トイレ内の漆喰DIYは狭いから簡単だと思っていても、大きな部屋と同じくらい難易度が高いのです。
3.ビニールクロスより費用が割高
漆喰はビニールクロスなどの安価な材料と比較して、価格が高くなり、施工にも熟練のスキルを持った職人が対応にあたるため、工事費も高くなります。
例えば、同じ面積であっても、漆喰壁にする場合とクロス貼りにする場合とでは、約1.5~2倍程度の費用に違いが出てしまうのです。
ただし、トイレについては、面積が小さくとも、漆喰独特の質感を感じられる場所で、住宅の中でも最も少額で済むと捉えれば、費用の増額は、気にならないと考えることもできます。
4.ひび割れが生じる
漆喰は水分の吸収による収縮と膨張が繰り返されることか、月日が経つにつれて、ひび割れが生じることがあります。
特にトイレは、家の中では湿度が高く、漆喰壁にひび割れが入りやすい場所です。
しかし、天然由来の漆喰を使用し、設計の綿密さや職人の施工精度を高めることで、ひび割れの心配のない家づくりをすることもできます。
純度の高い漆喰ならば、収縮率は低いためよほどのことがない限り、乾燥により壁が裂けるということはありません。
もし、ひび割れがあるとしたら、地震などによる「構造クラック」により発生することはありえるでしょう。
「構造クラック」とは、下地となっている壁とそれ以深の柱や床など構造自体が動いたことにより発生する裂け目のことです。
これは、建物全体の構造形式や、壁下地のつくり方など、左官工事以前の原因があるのです。
このような点においても、信頼できる工務店やハウスメーカーに施工を依頼するほうがよいといえるでしょう。
トイレの漆喰壁を掃除する方法
漆喰壁は、ビニールクロスのように洗剤を遠慮なく吹きかけて擦ることはできません。トイレに限らず、「漆喰壁はどうやって掃除をしたらいいのか分からない」と、お悩みの方も多いかと思います。
そこで、ここではトイレの漆喰壁を掃除する方法について解説します。漆喰壁をキレイに保ち独特の風合いを長く楽しむためにも、ぜひ参考にしてください。
■ 手あかなどの軽い汚れ
漆喰はデリケートな建材ですので、トイレ用の洗剤を吹き付けて、擦るような清掃できませんが、手垢などの軽い汚れは、消しゴムを使って簡単に落とすことができます。
しかし、広範囲に広がった汚れを落とすのは、重労働になるため、気付いた時や月1回など定期的に汚れを落としをしましょう。後回しにしないことがポイントです。
■ 飛沫など重たい汚れ
1.サンドペーパー
水分に色味を含んだ汚れは、消しゴムだけでは落としきれません。飛沫などの重たい汚れは、サンドペーパーで削って落とすことがおすすめです。
使用するサンドペーパーは、「細かさ」が番号によって違うため注意が必要です。数値が小さいほど目が粗く、高いほど細かくなります。
実際に漆喰を削る場合は、 #200番前後の普通の細かさのサンドペーパーを活用すれば削りやすく 、仕上がりもキレイになりやすいです。
汚れがひどい場合は、まず#100番位の少し粗いサンドペーパーで削ってから、#250番位の細かいものを使うもよいでしょう。
2.クエン酸や酸素系漂白剤
漆喰壁の汚れが深い場合、クエン酸や酸素系漂白剤を活用して掃除をするのも1つの手段です。
酸素系漂白剤に含まれている過炭酸ナトリウムは、水に溶けると活性酸素を発生させます。この活性酸素は、頑固なシミや汚れを落とすことができます。
・酸素系漂白剤の使用方法
酸素系漂白剤を水で希釈して、汚れている部分に塗り、丸1日放置します。この作業を数日の間、複数回に渡り繰り返しましょう。
活性酸素は、漂白力がそれほど強くないことから、繰り返し使うことで汚れを落とすことができます。
トイレをDIYで漆喰壁にする
トイレをDIYで漆喰壁にすることは、作業自体の難易度は高くても、空間は面積が狭いため、失敗しても材料費の損失は最小限で済みます。
また、漆喰壁は、多少粗い仕上げの方が、漆喰特有の風合いも強調されて、愛着が湧きやすいということもあります。
キレイな仕上がりを求めないのであれば、他の部屋と比較してもトイレの壁の漆喰DIYは、挑戦しやすいといえるでしょう。
漆喰DIYの工程を説明します。
【工程1】 施工場所を養生する
はじめに、施工場所を養生します。
養生とは、施工場所や養生で使う道具などを仮置きする場所を汚れや傷がつかないように保護することです。
養生に使用するアイテムは
1.ブルーシート
2.養生シート
3.マスキングテープ
全て、ホームセンターや100円均一などで手軽に購入ができます。
施工場所にブルーシートを敷き終えたら、漆喰を塗る面にマスキングテープを貼りましょう。
貼る時のポイントは、漆喰を塗る周辺部に漆喰の塗り厚分を引いた1mmほど空けて貼付することです。
窓枠や柱が汚れないように保護をしてください。
【工程2】 下地を整える
つぎに、下地を整えます。ビニールクロスが貼られている壁は、そのままでも塗れますが、剥がれかけた時のことを考え、ビニールクロスを剥がしておきましょう。
そして、クロスを剥がした後は、パテを使い、漆喰を塗る面を平たんにしておきます。
【工程3】 下塗りする
下塗りする理由は、漆喰が強アルカリ性という性質を持っていることから、直接、石膏ボードの上に塗ることができないことにあります。
下塗りの方法はメーカーにより処理方法が変わりますので、仕上げ材で塗る漆喰商品に記載されている施工手順を守り、下塗り処理をしましょう。
【工程4】 漆喰を塗る
作業の手順としては、右利きの方は左上隅から塗りはじめます。
天井と壁の繋ぎめ近くから漆喰を塗り、その後に少しずつ右方向に進んでいきましょう。(左利きの方は、右利きの方の逆からスタートしてください)
実際に漆喰をコテ板に乗せ、壁に塗り進めます。
この時に注意していただきたいのは、前述したようにトイレ自体が狭い空間のため、体や道具で塗った箇所をこすらないようにしましょう。
時間と体力を使った手間が徒労に終わってしまいますので、気をつけてください。
トイレをDIYで漆喰壁にする時の注意点
トイレををDIYで漆喰壁にする時には、下記の3つについて注意しましょう。
1. マスキングテープはすぐに剥がす
養生する時に使用するマスキングテープは、漆喰を塗らない場所を保護したりするためのものです。
時間の経過とともに剥がしづらくなるので、作業を終えた箇所から順番に早くマスキングテープを剥がしましょう。
そして、マスキングテープを剥がしたら手早く、筆などに水をつけて剥がした跡をキレイに整える「水バケ」をすると、仕上がりの完成度が変わります。
また、漆喰が乾き始める頃に剥がすと、漆喰ごと落ちてくることもありますので、様子を見ながら丁寧に行ってください。
2. 端に注意して塗る
下塗りと仕上げのどちらも、”端”に注意を払って塗ってください。仕上がりの美しさは、表面に加えて端の塗り方で決まります。
養生テープを剥がした後は、「水バケ」をするのと一緒にコテで押さえるなどこまめな気配りをすると、よりキレイに仕上がるでしょう。
3.仕上がりの完成度を追求しすぎない
丁寧に仕上げる意識と作業は必要ですが、漆喰DIYは、専門の職人が施工するほど完成度は高くなりませんが、DIYにはそれ自体に「味わい」「愛着」といったものがあります。
あまりこだわりすぎず、楽しみながら作業をしましょう。
ご自身では上手に仕上げる自信がない場合は、信頼できる工務店やハウスメーカーに依頼するのがおすすめです。漆喰壁は、左官技術が必要なので、施工業者や職人の経験と技術次第で仕上がりが変わります。
『THE FUN house』では、技能五輪全国大会の受賞者をはじめ、経験豊富な左官職人が施工します。
トイレの壁を漆喰にするメリット・デメリットのまとめ
漆喰には「染み込んだ汚れは落としづらい」「ビニールクロスより費用が割高になる」「ひび割れが生じる」といったイメージがあるかもしれません。
しかし、これまでお伝えしてきたように染み込んだ汚れは、定期的に小まめなメンテナンスをしたり、粗さが細かいサンドペーパーを活用したり、
クエン酸や酸素系漂白剤で掃除をすることでキレイな壁を維持することができます。
また、ビニールクロスと比較すると、確かに費用面では高くなりますが、トイレの嫌なにおいを抑えて、快適な生活を送れるメリットもあります。
さらに、ひび割れは、天然由来の純粋な漆喰を使用し、家屋の設計や下地の作り方で防ぐことも可能です。
『THE FUN house』では、地球と人に優しい漆喰壁、無垢の木を材料とした床・天井など自然素材の家作りに取り組んでいます。
モデルハウスや完成見学会では、そんな自然素材が持つ魅力や居心地の良さ、住まう人をファンにする理由を理解していただけるはずです。ぜひ、一度ご来場ください。