失敗しない平屋づくりのポイント
昔から日本人の生活を支えてきた家屋の代表格である「平屋」。
1階と2階の行き来がないことから、中高年層を中心に人気がありましたが、今では若い世代や子育て世代で平屋を希望される方が増えています。
平屋は、バリアフリーで動きやすい、家族同士のコミュニケーションが取りやすいなど、世代を問わず大きなメリットがありますが、広い敷地が必要などのデメリットもあります。
そこで今回は、平屋づくりの前に知っておきたいこと、後悔しないための注意点などもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
平屋とは?
「平屋」とは1階層のみの家屋です。平屋には2つの特徴があります。
・2階建て以上の建物と比較して、構造が単純化できるため耐震性が高い
・1階と2階の行き来がないことから、住む人の身体的な負担を軽減できる
これらの特徴から、老後の身体に負担をなるべくかけないためにも、階段の上り下りのない平屋を選択する方が増えています。
また、同じ面積の建物であれば、2階建て住宅より平屋の方が広い床面積が必要となります。そのため、地価が高い地域では、平屋が高級住宅になることもあります。
人気の理由が分かる!平屋の5つのメリット
老後の身体への負担の軽減だけでなく、子育て世代にも人気の平屋。その理由が分かるメリットについて解説します。
1.生活・家事動線が効率的
平屋は階段がなく、上り下りの移動が発生しません。生活・家事動線を効率化することができ、家事の手間が省けます。
例えば、2階建てのように、1階で洗濯機を回し、2階のベランダに干した後に、再度1階へ下りてクローゼットに収納すること。この他にも1階のフロアで掃除をして、掃除機を持ちながら2階に上がる必要も平屋にはありません。
また、自宅を計画する時に直線移動だけのため、効率的な間取りが考えやすいでしょう。
2.家族とのコミュニケーションが増える
平屋は全ての部屋が1階にあるため、家族とのつながりを近くで感じながら生活することができ、家族とのコミュニケーションが増えます。
お風呂やトイレ、子ども部屋など各部屋へ行くのにも、リビングを必ず通る間取りにすることができ、家族間で顔を合わせる頻度も増えるため、自然とコミニケーションが取れるようになります。
例えば、2階建ての場合、子どもが学校から帰ってきた際に2階の自室へ直行するといったことがあります。
しかし、平屋だと顔を合わせられるため、いつ帰ってきたのか分からないということはありません。多感な時期にも、親子間でのコミュニケーションを自然に取れるのは、大きなメリットの1つといえます。
3.広い空間を実現、耐震性向上
平屋は広いワンフロアの空間が実現でき、2階建てのように上のフロアを支えるための柱も不要になるので、間取りの自由度も格段に上がります。
例えば、LDKの境目を無くし、広さのあるワンフロアにしたり、天井を高くすることで開放感を向上させることも可能です。
また、2階以上のフロアがなく高さも抑えられるため、造りが安定し、地震など災害時の耐震性が向上します。
平屋は、家族が住まう大切な家の安全性を高めると共に、広々とした開放感のある空間を実現できるといえるでしょう。
4.メンテナンス費用が抑えられる
平屋は2階建てに比べて、外壁などのメンテナンス対象となる面積が少ないため、メンテナンス費用が抑えられます。
また、2階建て住宅の場合、屋根や外壁のメンテナンスを行う際には足場を組む必要があり、これが費用に大きく影響しますが、平屋は足場を組む必要がないため、足場費用を大幅に削減できます。
また、高所作業による危険性も低く、作業効率も向上するため、修繕費用を抑えることができます。
5.家庭内での事故が軽減できる
平屋は階段がなく、転倒や落下事故のリスクを軽減できます。
特に、小さなお子様やお年寄りなど、足腰が弱い方は、段差で転倒しやすいもの。平屋は直線移動するだけなので、幼いお子さんや高齢の方にやさしい住まいだといえます。
また、平屋は2階建てに比べて、家全体を見渡しやすい構造になっています。そのため、小さなお子様やお年寄りを見守りやすく、事故を防ぐことができます。
今、このような状況でなくても、10年後や20年後を見据えた時に、先行投資として平屋で建てることも選択肢の1つではないでしょうか。
気をつけておきたい、平屋の2つデメリット
続いて、平屋のデメリットについて解説します。
1.広い敷地面積が必須
平屋には、広い敷地面積が必須です。家族4人以上が住めるくらいの広い平屋住宅を建てようとすると、それだけ敷地面積を多くとる必要があります。
例えば、2階建てと同じ延床面積の自宅を建設する場合、シンプルに2倍の敷地を確保しなければなりません。また、住宅を建てる際は、建築基準法で土地ごとに建ぺい率が定められています。
建ぺい率とは、土地の面積に対してどれくらいの割合で建築が行えるかを示した割合です。
家を建てる前に、この比率を確認しておくことは大切です。広い土地だからといって敷地にめいっぱい建築できるわけではないので注意しましょう。
2.坪単価が高くなりがち
平屋は、坪単価が高くなりやすくなります。2階建てと同じ延べ床面積の住宅と比べ、平屋は平面で敷地面積をとるため2倍の広さになります。
工事単価の中でも「基礎」と「屋根」は高い項目の分類となります。そのため、工事費が高くなり坪単価は2階建てよりも高くなってしまうのです。
平屋を建てる時は、ご自身の予算と照らし合わせてご家族と相談して決めましょう。
平屋で間取りを考える時の3つのポイント
平屋で間取りを考える時のポイントについて解説します。
1.生活の動線を工夫する
1つめのポイントは、生活動線を工夫することです。自宅の中には寝室や子ども部屋、書斎などたくさんの部屋があり、そこからトイレ・洗面・浴室などに行く生活動線が必ずあります。
その生活動線を平屋であれば、短縮することが可能です。
例えば、2階建て住宅の場合は1階と2階を行き来するという導線が発生します。しかし、平屋であればワンフロアのみなので、限られた数の部屋を行き来するだけで済むのです。
それぞれの部屋を移動する時間は意外とかかるもの。移動時間が短縮されるだけで、生活のしやすさはかなり変わってくるでしょう。
また、洗濯や掃除などの家事で考えてみても同様です。掃除は、部屋の数だけ清掃をしなければいけません。
1階だけでなく、2階にも掃除機を持って上がり部屋を清掃する手間を考えると、時間だけでなく、労力ももったいないです。
平屋での生活は、工夫すればこの生活動線はぐっと短くなります。そうすることで、家事動線の改善にもつながり家事時間の短縮や負担そのものが軽減できる場合もあります。
アイデア次第では時間も労力も削減できますので、空いた時間で家族と過ごしたり、趣味を楽しめるようになります。
2.通気性を良くする
2つめのポイントは、通気性を良くすることです。通気性を高めていくことで、年間通して適度な湿度を保つことができ、快適に生活することができます。
そのために重要になってくるのは窓です。
室内の空気を入れ替えるには、1つの部屋に2つの窓が必要となります。
2つの窓を対角線上に設置することで、風の通り道を作ることができます。
ただし、内装や立地条件、周りの環境によりそれができないケースもあるでしょう。このような時は、通風用の細長い片開き窓のように小さな窓を配置することで、周囲を気にせず、プライバシーを保つことができます。
片開きの窓を上下に2ヵ所ほど取り付ければ、屋内に上昇気流が発生し、風通しが良くなるのです。
いつでも新鮮な空気を取り込むことは、気持ちをリフレッシュさせることもでき、家族の会話も弾むのではないでしょうか。
3.太陽光を取り入れやすくする
3つめのポイントは、太陽光を取り入れやすくすることです。
日の光を家の中に取り入れることで、家全体が明るくなり、日中に照明をつける必要がなくなります。
具体的には、天井を吹き抜けタイプにしたり、北向きの暗い部屋には、天窓や小窓を多く設置することで、太陽光を取り入れやすくなります。
また、壁面の高い位置に設ける窓「ハイサイドライト」を取り入れることで、窓が開けにくい立地でもプライベートな空間が守られつつ、お部屋の奥の方まで明るい光を届けることができます。
平屋を建てるなら、木造と鉄骨はどちらがいい?
平屋を建てるなら、木造住宅と鉄骨住宅のどちらがいいかといえば、木造住宅がおすすめです。その理由について解説します。
■ 価格が割安
木造は、鉄骨造と比較して坪単価が大きく抑えられます。
例えば、木造と鉄骨造で坪単価が30万円違う場合、30坪の建物では900万円の違いが生じる計算です。
また、前述したように平屋は2階建て住宅より坪単価が高くなります。
一般的に基礎や屋根の工事費は「家全体の約10%」を占めているため、2階建てと比較して10%を上乗せして計算しておく必要があります。
コストを抑えるといった点では、木造の方がいいといえるでしょう。
■ 高い断熱性
木材の熱伝導率は、鉄と比較して約500分の1と非常に低いです。
なぜなら、 木材は細胞の集合体で、この細胞の中には熱を伝えにくい空気が含まれているからです。つまり、木材は鉄と比較して、高い断熱性を持っているといえます。断熱性が高ければ、夏は涼しく、冬はあたたかい室内環境を実現することができます。
梅雨時期のジメジメとした湿気を吸収してくれたり、冬場の乾燥しやすい時期は、溜め込んだ水分を放出して潤いも与えてくれるので、人にやさしい住環境を提供してくれるのです。
一方、鉄は木材より熱を通しやすい性質があるため、夏も冬もそのまま熱を伝えてしまいます。特に冬は基礎構造である鉄が冷え、壁の内部が結露しやすくなります。さらに、結露防止のために断熱材を使用して施工するので、追加で費用がかかります。
つまり、住みやすい室内環境の実現と費用面で見ても、木造住宅の方がいいといえるでしょう。
■ 間取りの自由度が高い
木造住宅は、基本的にどのような間取りでもをつくることができます。
一方、鉄骨住宅は、材料が厳密に規格化されていることから、決まったサイズでしか家を建てられません。
さらにいえば、土地の面積が極端に少なかったり、敷地がいびつな形状をしているなどの制限がある場合は、住宅を建てることすらできない事例もあるようです。
このように平屋は、家の面積や形状の影響を直接受けるため、自由度の高い木造住宅の方が制限が少なく、理想の間取りに近い住宅を建てやすいといえるでしょう。
平屋を建てる際の注意点
続いて、平屋を建てる際に気をつけたい注意点について解説します。
■ 家族間のプライバシーを確保
平屋は、全ての部屋がワンフロアに集まっているので、プライベートな空間や時間の確保は難しいといえます。対策としては、家族の人数分は個室を配置したり、間取りを工夫する必要があります。
■ 防犯対策
平屋でも2階建てでも、防犯面への配慮は大切です。 ただし、平屋には寝室や浴室も1階にあるため、防犯面での十分な配慮が不可欠です。防犯カメラの設置や防犯ガラス(強化ガラス)を採用することで、大切な家族を守る対策はしておきましょう。
■ 収納スペースを確保
平屋は、2階建て住宅と比べて収納スペースの確保が難しい傾向にあります。収納は、住宅全体の約13%ほどのスペースが確保できると理想的です。
間取りを決める段階で、何をどこに入れるのか、具体的にイメージしながら収納スペースを設ければ、使いやすい収納空間が実現できるでしょう。
失敗しない平屋づくりのポイント
平屋を建てる時に、失敗しないためのポイントについて説明します。
1.複数社から相見積もりを取る
1つめのポイントは、複数社から相見積もりを取ることです。なぜなら、依頼する業者によって工事にかかる価格や家が完成するまでの期間が違うためです。
例えば、住宅を建てる時に下請けの会社が入ると、仲介料は増えていきます。そして、依頼する作業量が多ければ多いほどこの費用も上がっていくのです。つまり、見積もりを取って複数社の比較をすることにより、下請けに依頼している作業量を金額として明確にすることができます。
複数社から取った見積もり結果から、適切な業者を見極めていきましょう。
2.平屋の実績が豊富な住宅会社を選ぶ
2つめのポイントは、平屋の建築実績が豊富なハウスメーカーや工務店を選ぶことです。建築実績が少ないハウスメーカーや工務店では、予想していなかった後悔をする可能性があります。
チェックポイントとしては
□ 地元の評判が良い
□ 大工さんの質やスキルが高い
□ 営業担当、会社の雰囲気がいい
□ アフターサービスがしっかりしている
□ 坪単価が予算と合っている
このようなことを確認することが大切です。「完成見学会」や「現場見学会」を活用することで、施工会社の雰囲気や技術力などが見えてくるでしょう。
3.家族間で合意が取れている
3つめのポイントは、家族間で合意が取れていることです。
平屋は、プライベートな空間の確保が難しいことから、事前に家族間で合意を取っておくことが大切です。
家族であってもプライベートはあるため、一人ひとりのプライバシーを侵害しないためにも、間取りを計画する段階で、家族内でよく話し合っておきましょう。
4.ライフスタイルの変化を見据える
4つめのポイントは、ライフスタイルの変化を見据えることです。
5年10年と長く暮らしていくと、お子さんが生まれて家族が増えたり、親との同居など家族構成は変わっていくものです。
例えば、子ども部屋にする予定があれば
□ 部屋を十分に設けられる間取りになっているか
□ コンセントは足りているか
□ 収納スペースは不足しないか
□ エアコンは部屋に取り付けられるか
このようなことをあらかじめ考えておく必要があるでしょう。将来のことを見据えて、家の大きさや間取りを考えておきたいものです。
平屋のまとめ
この記事では、平屋について詳しく紹介しました。
平屋の木造住宅といえば「昔からあって古くさそう」というイメージがあるかもしれません。
しかし、ここまでお伝えしてきたように平屋は
- 生活・家事導線が効率的で手間が省ける
- 家族とのコミュニケーションが増える
- 広い空間を実現できる
- メンテナンス費用が抑えられる
- 家庭内での事故が軽減できる
など、嬉しいメリットがたくさんあります。
安全性を高めながら、快適な室内空間をつくり、家族との時間を大切にすることが可能な平屋は、人にやさしい家だといえるでしょう。
ただし、せっかくの平屋も間取りの設計を間違えるとプライバシーがなくなったり、防犯性を欠いた家になり後悔する原因になりかねません。
そのような状況を避けるためにも、施工経験が豊富で信用できる住宅会社へ相談したり、家族間で事前に話し合い、決めごとをつくっておくことが大切です。
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