セルロースファイバーが最強の断熱材と言われる理由
近年、住宅の断熱材として注目を集めているセルロースファイバー。断熱性能・調湿性能・環境性能のすべてにおいて優れた特性を持ち、多くの建築家や施工業者から「最強の断熱材」と評価されています。本記事では、その特徴や他の断熱材との比較・導入時の注意点までを詳しく解説していきます
- セルロースファイバー断熱材とは?
- セルロースファイバーが選ばれる理由:5つのメリット
- セルロースファイバーと他の断熱材との比較
- セルロースファイバーに関するよくある誤解と真実
- セルロースファイバー断熱材の施工方法と費用
- セルロースファイバー断熱材で後悔しないためのポイント
- まとめ:セルロースファイバーは最強の断熱材と言えるのか?
セルロースファイバー断熱材とは?
新聞古紙・段ボール・木材チップなどを原料とし、特殊な処理を施して作られる環境配慮型の断熱材です。リサイクル素材を使用しながらも、優れた断熱性能と耐久性を実現しています。製造工程から施工方法まで、その特徴を詳しく見ていきましょう。
リサイクル素材から生まれたエコな断熱材
製造過程における環境負荷も極めて低く、さまざまな面で環境に配慮された素材となっています。
原料構成
– 新聞古紙:約80%
– ホウ酸系難燃剤:約20%
難燃処理としてホウ素系化合物が適量添加されています。ホウ酸は燃焼しづらいという特徴を持っており、たとえ燃焼してしまっても炭化することで延焼を防いでくれます。
特筆すべきは製造時のCO2排出量です。一般的なグラスウールと比較して、製造時のCO2排出量が数十〜数百分の一です。これは、地球温暖化対策の観点からも非常に重要なポイントとなっています。
また、廃材のリサイクル率も極めて高く、施工時の端材や将来的な解体時の材料も98%以上がリサイクル可能です。このような環境性能の高さは、今後ますます重要視されていく建築材料の選定基準において大きなアドバンテージとなっています。
セルロースファイバーの製造方法
製造工程は以下のような流れで進められ、品質管理が徹底されています:
1. 原料の選別処理
古紙の中から異物を取り除き、適切な原料のみを選別します。この工程で、製品の品質を大きく左右する不純物の混入を防いでいます。
2. 解繊(かいせん)処理
特殊な機械を使用して、古紙を細かい繊維状に解きほぐします。この工程で断熱材としての性能を最大限に引き出す繊維構造が形成されます。
3. 難燃処理
ホウ酸系の難燃剤を添加し、防火性能を付与します。この処理により火災時の延焼を防ぐ性能が確保されます。
4. 品質検査
JIS A 9523による様々な(吸湿性・防火性・防かび性・はっ水性などの)厳しい基準をクリアしたものだけが出荷されます。
セルロースファイバーが選ばれる理由:5つのメリット
セルロースファイバーが「最強の断熱材」と呼ばれる背景には、他の断熱材にはない複数の優れた特性があります。ここでは、その代表的な5つのメリットについて具体的な数値とともに詳しく解説していきます。
高い断熱性能で一年中快適な室内環境を実現
セルロースファイバーの断熱性能は、一般的な断熱材と比較して非常に高い水準にあります。具体的には、熱伝導率0.040w/mk以下という優れた性能を持っています。
たとえば、一般的な住宅の壁に105mm厚のセルロースファイバーを施工した場合、夏場の室温上昇を最大6℃抑制することができます。これは、エアコンの使用時間を大幅に削減することにつながり、年間の冷暖房費を約30%削減できる計算になります。
優れた調湿性能で結露やカビを抑制
セルロースファイバーの大きな特徴として、優れた調湿性能が挙げられます。繊維状の構造が水分を適度に吸収・放出することで、室内の湿度を自然に調整します。
防音効果で静かな住まいを実現
繊維状の構造は音の伝播も効果的に抑制します。具体的な性能として:
– 空気伝播音:遮音等級D-45以上
– 床衝撃音:遮音等級L-45以上
これは、一般的な会話の音を約70%カットできる性能です。マンションやロードサイドの住宅など、外部騒音が気になる環境での効果は特に顕著です。
火災にも強い安心の防火性能
セルロースファイバーは、不燃材料として国土交通大臣認定を取得しています:
– 燃焼試験:不燃性能1時間以上
– 発煙性:ほぼゼロ
– 有害ガス発生:検出限界以下
特に重要なのは、火災時の延焼を防ぐ性能です。火災実験ではセルロースファイバーを施工した壁が1時間以上の耐火性能を示しています。
環境にも人にも優しい安全性
シックハウス症候群の原因となる有害物質の放散がほとんどないことも、大きな特徴です:
– ホルムアルデヒド放散量:検出限界以下
– VOC(揮発性有機化合物):不検出
– 施工後の臭気:ほぼなし
セルロースファイバーと他の断熱材との比較
グラスウールとの比較:コストパフォーマンス・性能面でセルロースファイバーが優位
– 初期コストは若干高めですが、性能と耐久性で長期的なメリットが大きい
– 施工性において、隙間なく充填できる優位性がある
– リサイクル性において圧倒的な差がある
ガラスが原料のグラスウールに吸湿性はありません。施工時にポリエチレンなどで出来た防湿シートで覆います。この防湿層が不十分だと隙間から湿気が侵入し内部結露する恐れがあります。グラスウールは湿気に弱いので、防湿対策をしなければ水を吸って重みでつぶれて断熱材として機能しなくなります。
ロックウールとの比較:防火性能・調湿性能でセルロースファイバーが優位
両者とも高い防火性能を持ちますが、セルロースファイバーには以下の優位性があります:
– 充填密度が約2倍で、断熱性能が高い
– 調湿性能において明確な差がある
– 施工時の粉塵が少ない
ウレタンフォームとの比較:環境性能・耐火性・防音性・防虫対策でセルロースファイバーが優位
ウレタンフォームと比較した場合の特徴:
– 初期コストが約2倍高い
– 施工後の経年変化が少ない
– 環境負荷が圧倒的に低い
ウレタンに耐火性能はなく、むしろ延焼が起きると黒煙さえ出ます。それに加え、シロアリに食われやすいです。経年劣化もみられ、変色やカビなど様々な問題が起こります。
セルロースファイバーに関するよくある誤解と真実
ゴキブリの温床になるってホント?
これは完全な誤解です。以下の理由から、むしろ害虫の繁殖を防ぐ効果があります:
– ホウ酸系難燃剤の防虫効果
– 適度な密度による生息空間の排除
– 湿度管理による繁殖環境の抑制
経年劣化による性能低下は?
適切に施工された場合、50年以上の耐久性が確認されており半永久的に使用可能です:
– 圧縮による沈下:1%未満/50年
– 断熱性能の低下:確認されていない
– 防火性能の維持:変化なし
セルロースファイバー断熱材の施工方法と費用
断熱材の性能を最大限に引き出すためには、適切な施工が不可欠です。ここでは、一般的な施工方法や導入時に必要となる費用、活用できる補助金などについて詳しく解説していきます。
吹き込み工法による施工
セルロースファイバーの施工は、主に特殊な機械を使用した吹き込み工法で行われます。具体的な手順は以下の通りです:
1. 事前準備
– 壁内の点検(配線・配管の確認)
– 吹き込み口の設置
– 施工面積の測定と必要量の計算
2. 本施工
– 適切な密度(約55kg/㎥)での充填
– 均一な吹き込みによる断熱むらの防止
– 隙間のない施工による性能の確保
特に重要なのは施工時の密度管理です。たとえば壁施工の場合、1㎥あたり約55kgの量を均一に充填することで、最適な断熱効果が得られます。
施工費用相場と補助金・助成金情報
標準的な施工費用の目安:
施工単価は1㎡あたり6,000~9,000円程度です。1棟あたり80万円前後が目安です。
活用できる補助金・助成金:
国の補助金
– ZEH支援事業:最大100万円
– 省エネ住宅ポイント:最大35万ポイント
地方自治体の補助金
– 自治体により10-30万円の補助
– エコ住宅改修助成金など
セルロースファイバー断熱材で後悔しないためのポイント
専門業者選びの重要性
信頼できる施工業者の選定基準:
1. 実績と経験
– 施工実績5年以上
– 年間施工件数50件以上
– 製造メーカーの認定資格保有
2. 見積もりの透明性
– 材料費と施工費の明細化
– 追加費用の説明
– 保証内容の明確化
具体的な確認項目:
– 施工事例の写真
– 施工後の測定データ
– アフターフォロー体制
施工後のメンテナンス
基本的なメンテナンス項目:
1. 定期点検(年1回推奨)
– 断熱性能の確認(サーモグラフィー診断)
– 沈下・変形の有無確認
– 結露状況の確認
2. 日常的な確認
– 室内温度・湿度の記録
– 結露の有無のチェック
– 異常な結露を発見した場合の早期対応
まとめ:セルロースファイバーは最強の断熱材と言えるのか?
セルロースファイバーの総合評価:
1. 性能面での優位性
– 断熱性能:熱伝導率が0.040w/hk と、数字でみれば他の断熱材と変わりませんが体感は段違いです。
– 調湿性能:業界トップクラス
– 防音性能:高い遮音性能
2. 環境性能
– CO2排出量:75%削減
– リサイクル率:98%以上
– 有害物質:不使用
3. 経済性
– 初期投資:高め
– 光熱費削減:暖房費約7割、冷房費約3割 削減
– 耐久性:50年以上
総合的に見てセルロースファイバーは以下の点で「最強の断熱材」と呼ぶにふさわしい特性を持っています:
– 環境負荷の低さと高性能の両立
– 長期的なコストパフォーマンスの高さ
– 安全性と耐久性の確保
ただし、その性能を最大限に引き出すためには適切な施工が不可欠です。導入を検討される際は、本記事で解説した選定のポイントを参考に信頼できる施工業者を選ぶことをお勧めします。
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