薪ストーブに使う薪代
薪代はどれくらい掛かる?気になる冬の費用も計算!
環境にやさしく健康にも良く、魅力が詰まった薪を燃料とする「薪ストーブ」。
部屋全体をあたためてくれるだけでなく、見る人を楽しませてくれる炎の揺らめきにも惹きつけられる方も多いのではないでしょうか。
最近では、カレーやシチューのような煮込み料理にも活用できることから、新築やリフォーム時に薪ストーブを設置するご家庭も増えています。
そんな薪ストーブは、設置だけでなく薪も必要。
そこで、今回は1シーズンでかかる薪代について解説します。
また、薪ストーブ導入の際に補助金を交付する自治体も増えていることから、補助金制度についても説明していきます。
▼目次
使用する薪の種類と入手場所
薪と一言で言っても色々な種類があります。
「どの薪を使えば良いのか」、「おすすめの組み合わせはあるのか」このように疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
また、「薪をどこで入手すれば良いかわからない」方も多いはず。
まずは、薪の種類と組み合わせ、入手場所についてそれぞれ説明します。
薪の種類は、大きく分けて”針葉樹”と”広葉樹”があります。
■ 針葉樹
針葉樹の特徴は、油分も多く含み、着火しやすいことです。
柔らかく細めの薪ならナイフでも割れるので、薪ストーブ初心者でも安心して扱えます。
また、中身の空洞部分が多いため、燃えるスピードが早いです。
ただし、火持ちはしないので、長く炎を楽しむには不向きというデメリットもあります。
代表例としては、スギ、ヒノキ、マツなどが挙げられます。
■ 広葉樹
広葉樹の特徴は、皮がゴツゴツしていて、ズシリと重いことです。
中身がみっちり詰まっていて硬いので、薪割りには慣れが必要です。
中身が詰まっているので、針葉樹と違い火持ちが良く、火力も非常に高いです。
ただし、そのまま使用しても針葉樹のように早く燃えることはありません。
焚き付け材としては、不向きと言えます。
代表例としては、ナラやクヌギ、カシなどです。
おすすめの薪の組み合わせ
おすすめの薪の組み合わせは、
・焚き付け時はスギやヒノキの針葉樹を使用する
・炎が十分に燃え広がったら、クヌギやカシなどの広葉樹に切り替える
この2つのポイントを意識して使い分けることです。
このようにすることで、早く長く薪ストーブを楽しむことができます。
この中でも特におすすめしたいのは、「カシ」です。
広葉樹の中でも火持ち、火力ともに抜群に高く、燃やした時の煙にクセがないため、リンゴやサクラの燻製に使われるほどです。
また、他のスギやマツなどと比較しても炎の揺らめきや色味も美しいです。
薪の入手場所
薪を入手するには、大きく分けて
1.購入する
2.自分で伐採したり、拾ったりして薪を作る
3.人やコミュニティから譲ってもらう
このように3つに分けられます。
1.購入する
購入する場合は、ホームセンター、薪ストーブ屋、燃料店、キャンプ場、薪専門店で買うことができます。
ホームセンターで購入するとかなり高額になってしまいますが、最近では、インターネットの普及もあり、DIYショップ、ネット販売店等でも薪を扱うところも増加している傾向です。
2.自分で伐採したり、拾ったりして薪を作る
一方で無料で手に入る方法もあります。
自分の足を使い、枯れ木や流木を拾ったり、木を伐採して薪を作る場合です。
しかし、その場合は原則は自己所有の土地以外で、無断で伐採したり拾って使用してはいけません。
3.人やコミュニティから譲ってもらう
個人の工務店や薪ストーブオーナーに薪を売ってもらえないかと尋ねることもできますが、注意が必要です。
本来、薪作りには事前準備〜後片付けまで、多大な労力をかけます。
「働かざる者、焚くべからず」
タダで分けたくないのが本音です。
その場合は、一緒に薪作りに参加し楽しめるほどの気持ちと行動力を持つと良いでしょう。
『THE FUN house』の薪ストーブオーナー様のコミュニティ
約3割の方が薪ストーブを設置される『THE FUN house』では、薪ストーブオーナー様のコミュニティがあり、薪の調達を協力し合い、掃除方法、便利アイテムなどの情報共有をしています。
原木をみんなで割り、一緒に薪作りを楽しみ、完成した薪を持ち帰ることができるのです。
最高の焚き付け材がたくさんあるとも言えます。
薪ストーブの家選びをする時は、薪ストーブのコミュニティがある工務店で家を建てると良いでしょう。
薪を選ぶ際のポイントや注意点
湿度の高い薪を使うのはNG!
薪選びのポイントは、必ずよく乾燥した物を選ぶことです。
乾燥した木を選ばないと本当に燃えません。
燃えたとしても、不完全燃焼によりススや一酸化炭素が放出されるので、健康面で悪影響を及ぼしかねないです。
必ずよく乾燥した薪材を選ぶようにしましょう。
乾燥した木とはどういうもの?
通常、山の木は、11月から水の吸い上げを止めます。
なぜなら、体内に水を蓄えると冬になった時に凍りつくからです。
そして、水分が凍ることで体積は増えるので、耐えきれなくなった木の表面は膨張し弾けてしまうのです。
だから、吸い上げを止めるのは、本能とも言えます。
実際には下記の5つの手順で乾燥した薪材を作ります。
【乾燥した薪材の作り方】
1.夏場に切る時は葉がらし乾燥させる
(切り倒した木を葉っぱの付いたままにしておき、山でしばらく置くことで余計な水分が抜けるのを待つ)
2.寝かせたまま11月から2月、3月にかけて、玉切り(30〜40cm)する
3.それをさらに細かく割る
1.来年まで1年間かけて乾燥させる
このように、今年の薪を使いながら来年の薪も同時に溜めるというイメージです。
乾燥と言っても、雨が降った後に切らないようにするという次元ではありません。
乾燥した良質な薪を作るには、かなりの時間と手間暇がかかるのです。
一方で、購入する場合は、商品として提供されるため、よく乾燥されたものが多く安心して使用できます。
薪ストーブに使用する薪代はどれくらい?
結論から言うと、「薪ストーブの種類」や「メイン暖房で使うのか」、「補助の暖房で使うのか」「使用する地域」など各家庭により薪代はまちまちです。
ここでは、仮に山本さんのご家族の場合とします。
具体的に下記のように、使用シーンを想定しながら詳しく説明します。
【山本家の場合】
- 1.家族構成
- 2.住んでいる地域
- 3.薪ストーブの設置場所
- 4.使用している薪ストーブの種類
- 5.その他に使用する暖房器具
- 6.薪ストーブと他の暖房器具の使用時間
- 7.1ヵ月の薪代
- 8.1ヵ月の暖房費
- 9.1シーズン中の費用
それでは、1つずつ見ていきましょう。
1.家族構成
家族構成は、夫婦と子ども2人の4人家族です。
旦那さんは平日朝8:30〜17:30まで仕事をし、
奥さんは専業主婦で平日はほぼ自宅にいます。
お子さんは2人とも小学校に行き、帰宅は16時くらいです。
2.住んでいる地域
地域は九州の平野部です。1年通して比較的温暖です。
夏季の日射による気温は上がりやすく、冬季を中心とした放射冷却現象による気温の低下が起こりやすく、寒暖の差が大きくなることが多いです。
また、冬季は海側から北風までが絶え間なく吹き付けるため、寒い方で雪も薄っすらと積もります。
3.薪ストーブの設置場所
30坪ほどの新築住宅で、薪ストーブの設置場所はリビングです。
部屋の中央に近い箇所に設置し、1番熱効率の良くなる場所です。
部屋全体の暖かさはもちろん、炎やその音を感じられ、ゆっくりとした時間を過ごせる「あたたかみ」もあります。
また、設置時に太陽の光が当たりにくい北側の部屋という選択肢もあります。
北側からは冷気が流れてきやすいので、そこに薪ストーブを設置すれば、部屋の冷たい空気が陽だまりのようにじんわりと心地良いものに変わります。
そのため部屋全体があたためられるのです。
4.使用している薪ストーブの種類
使っている薪ストーブは、ベルギー製の「ネスターマーティン」です。
『THE FUN house』では、燃焼効率が良いと言われている「ネスターマーティン」をおすすめしています。
5.その他に使用する暖房器具
「リンナイの温水ルームヒーター」を1階のリビングに設置しています。
こちらはプロパンガスを使用しており、九州北部の平均で1m3あたり約863円です。
※プロパンガスは給湯器やコンロなどでも使用。
6.薪ストーブと他の暖房器具を使う時間
薪ストーブと他の暖房器具を使う時間は、下記の通りです。
・薪ストーブ
平日17時〜22時頃、休日8時〜22時頃
・温水ルームヒーター
平日5時30分〜19時頃、休日6時30分〜20時頃
※1 設定温度は、朝が13度、昼間は18〜20度
※2 外出する時もあるため、全てがこの通りではありません。
7.1ヵ月の薪代
ここでは、1ヵ月にかかる薪代について見ていきます。
結論としては、1ヵ月平均で約2万円ほどかかります。
今回のように30坪ほどの新築住宅で、メイン暖房を薪ストーブにする場合。
必要な薪の量は、約0.6トン=1立方メートルほどになります。
(※切り立ての薪の場合)
ただ、建物の断熱性能に依存するため、それ以上を必要とすることもあります。
現在、薪屋さんで薪1立方メートルを購入する場合の相場価格は、2万円前後です。
ちなみに、 ホームセンターでの価格は、1束400円前後。
仮にホームセンターで全ての薪を調達しようとすると、1ヵ月の薪代が約4万円ほど掛かることになります。
かなり高額な暖房費用だと感じた方も多いのではないでしょうか。
また、実際に薪ストーブを使い始めたばかりの初心者は、どんどん新しい薪を入れがちです。
ついつい薪を使いすぎるということもありますが、何度も使い込んでいくことで、薪の追加のタイミング・使用量などが感覚で分かってくるようになります。
8.1ヵ月の温水ルームヒーターの暖房費はいくら?
ここでは、1ヵ月の温水ルームヒーターの暖房費について見ていきます。
温水ルームヒーターを使用し始める12月のプロパンガス代から、使用前の11月のプロパンガス代を差し引いた金額で比較をしてみます。
実際のガス代は、下記の通りです。
・12月プロパンガス代:17,916円
・11月プロパンガス代:7,935円
ここから12月のプロパンガス代から、11月のプロパンガス代を引くと、
(12月プロパンガス代:17,916円)ー(11月プロパンガス代:7,935円)=9,981円
このようになります。
つまり、1ヵ月あたりの温水ルームヒーター代は、9,981円ということです。
ただし、冬場の寒さがピークに向かうに連れ、給湯器やコンロなどの使用量も増えるため一概には言えません。
およその目安として参考にしてください。
9.使用期間を4ヵ月で想定すると?
先ほどまでで、1ヵ月あたりの薪ストーブ代と温水ルームヒーターにかかるプロパンガス代を説明してきました。
次に気になるのは、1シーズン(12月〜3月まで)の費用ではないでしょうか。
ここでは、一冬にかかる薪代について解説します。
まず、薪ストーブで1ヵ月あたり1立方メートルの薪が必要なのは、先ほど説明した通りです。
そのため、一冬に必要な薪の量は、4立方メートルとなります。
薪の相場は、1立法メートル=約2万円なので計算は、
約2万円(1立方メートル)×4か月=約8万円
このようになります。
ちなみに、ホームセンターなどの価格は1束400円前後なので、4ヵ月の薪代は約16万円です。
薪屋さんで薪を調達する場合と比較して、ホームセンターの方が約2倍は高いことになります。
また、温水ルームヒーター代も同様に計算すると、
1ヵ月当たり9,980円×4ヵ月=39,920円
このようになります。
温水ルームヒーターの暖房費は、1シーズンで約4万です。
薪屋さんで薪を全て購入する場合と、温水ルームヒーターの暖房費を比較すると、薪代はその2倍。
薪ストーブをメイン暖房にすると、他暖房器具よりも1シーズンの暖房費用は高額になりがちだということです。
薪ストーブ導入に補助金もある
これまで、薪ストーブの費用が他暖房器具の暖房費より高額であることを説明してきました。
確かに薪ストーブは、導入が高額になります。
さらに、ランニングコストも高くなりやすいです。
一方で、薪ストーブは環境に優しいエコロジーな暖房器具の一面もあります。
現在、薪ストーブのそのような特徴に着目して、導入前に”補助金”を交付する自治体が増えてきました。
ここでは、福岡・熊本県で補助金のある自治体をご紹介します。
薪ストーブが高額過ぎて導入にあと一歩踏み込めない人は、ぜひ参考にしてみてください。
ただし、注意点があります。
今回の一覧は、交付した実績も含まれているので、制度名や内容(募集期間・交付条件・補助金額等)は予告なく変更される可能性があります。
最新の情報は、自治体へ必ずお問い合わせください。
【福岡県】
・大木町
令和5年度地球温暖化防止対策支援補助金
設置費用の10分の2以内(上限10万円)
・東峰村
新エネルギー設備導入促進事業補助金
対象経費の25%以内(限度額100,000円まで)
【熊本県】
・高森町
高森町ペレットストーブ等設置費補助金
10万円以上の補助対象経費に2分の1を乗じて得た額以内とし、上限額は10万円とする
・南関町
南関町家庭用再生可能エネルギー導入促進事業助成金交付事業
設置費用の1/5(上限5万円)。
・南小国町
南小国町ペレットストーブ等購入補助金
購入費(設置費含む)1/3以内 上限15万円
・山都町
令和4年度住宅用薪ストーブ等設置費補助金
薪ストーブ又はペレットストーブ等…補助対象経費の1/2(上限20万円)
薪ストーブの薪代まとめ
薪ストーブの導入には、
・ランニングコストである薪代は高い
・維持管理するのに手間もかかる
・導入前に高額な費用がかかる
このようなことから、一見すると自宅に備え付けるのは、ハードルが高いように見えます。
購入する人を選ぶ暖房器具とも言えるかもしれません。
一方で、それだけの費用や手間を吹き飛ばすほど薪ストーブには、他の暖房器具と比べられない「あたたかみ」や「楽しさ」があるのです。
薪ストーブには、
・家の中に自然の温もり
・幻想的な炎の揺らぎ
・あたたかい料理
・人が自然と集まる空間
このように素敵な時間や場所を作れたりするので、生活をまるごと変えるチカラがあるとも言えます。
また、薪は自分で作れる「人に寄り添ったエネルギー」です。
人が歩んできた歴史と本来あるべき姿を思い出させてくれます。
そう考えると、大変さに負けないくらい楽しみに変わるのではないでしょうか。
『THE FUN house』では、そんな素敵な薪ストーブ付きで、全て漆喰壁・杉の床・天井の自然素材の家をつくることができます。
そして、家を作って終わりではありません。
『THE FUN house』は、薪ストーブオーナー様のコミュニティがあります。
そこには、薪材の情報もたくさん集まりますし、薪割りのプロセスを楽しみながら薪材を入手することもできます。
モデルハウスや完成見学会では、薪ストーブの魅力や自然素材の家の心地良さなど肌で感じていただけるはずです。ぜひ一度、ご来場ください。