薪ストーブの煙突掃除

煙突掃除の方法とは?必要性やポイントも解説!

ノスタルジーな見た目と幻想的に揺らめく炎で、ゆったりとした空間を演出してくれる薪ストーブ。

最近では健康や美容にも良いとされています。

そのため、薪ストーブを自宅に設置しようと検討されている方も増え、静かなブームになっています。

薪ストーブのランニングコストで、最も費用が掛かるのは「薪代」です。

そして、その他に掛かるランニングコストの1つに「煙突掃除」があります。

大切な人と長く安全に楽しむためにも、煙突のメンテナンスは必須と言えます。

そこで、今回は薪ストーブの煙突掃除の方法について解説します。

また、煙突掃除の必要性や煙突掃除をするタイミング、ポイントや注意点についてもお伝えするので参考にしてください。

煙突掃除のメリット・デメリットは?

そもそも煙突掃除をする必要性はあるのでしょうか。
ここでは、煙突掃除をするメリットと掃除をしなかった場合のデメリットについて解説します。
メリット、デメリットに分けると、下記の通りです。

メリット
1.燃焼効率を非常に良い状態に保てる
2.薪ストーブの使い方が正常かどうか判断できる

デメリット
1.火災の原因になる
2.煙の逆流が発生する

それぞれについては、次で詳しく見ていきます。

掃除するメリット

ここでは、煙突掃除をするメリットについて解説します。

1.燃焼効率を良い状態に保てる

1つ目のメリットは、燃焼効率を非常に良いまま使用できることです。

では、燃焼効率が良い状態とはどんな状態なのでしょうか。

それは、薪を燃やした時に発生する排ガスの排出速度が上がることで、薪ストーブ炉内の気圧が薄くなり、燃焼のために必要な酸素を多く取り込むことができる状態です。

大前提として、薪の燃焼により熱せられた空気、排気ガスは密度が薄くなり、熱膨張によって広がろうとします。

そして、その排ガスは比重の差により上向きに上がろうとするのです。

これを煙突によって閉じ込め、上だけを開放することで、排気ガスの排出速度を上げることができます。

もし、ここで薪ストーブを稼働させた際に発生する煤(すす)、タールなどが蓄積していると、排出を妨げる要因になりかねません。

燃焼効率を高めることは、薪の不完全燃焼が抑制され、人体に有害な一酸化炭素などの有害物質の排出を抑え、省エネにつながるとも言えます。

2つ目のメリットは、薪ストーブの使い方が正常かどうか分かることです。

2.薪ストーブの使い方の確認

普段から乾燥した薪を使っていれば、細かい砂のような煤(すす)が煙突につきます。

逆に、湿度を含んだ薪を使って燃やすと”クレオソート”という有機タールなどが煙突に付きやすくなります。

この後でも触れますが、クレオソートが溜まると火災や煙の逆流の原因になりかねません。

購入した薪や薪ストーブの使い方そのものが正しいかどうかを知ることは、身の安全を守るためにも大切だと言えます。

掃除しないデメリット

ここでは、煙突をしなかった場合のデメリットについて解説します。

1.火災の原因になる

まず1つ目のデメリットは、火災の原因になることです。

前述したように、煤(すす)やクレオソートなどの有機タールが蓄積し詰まってくると煙突内が固まるため、内部が狭くなり煙の排出が上手にできなくなります。

クレオソートは、薪を温度帯の低い場所で使い続けることで発生する黒い液体です。

薪ストーブは、燃焼温度が約760度以下になると不完全燃焼が起こり、発生しやすくなります。

この蓄積したクレオソートの特徴に”揮発性”があり、一定以上の温度まで加熱されることで煙突火災を発生させる可能性があるのです。

これは車に例えると、オイル交換しないで乗っているのと同じ状態。

つまり、煙突内の環境を整えるのは、薪ストーブオーナーに取って必須であり絶対条件と言えます。

2.煙の逆流が発生する

2つ目のデメリットは、煙の逆流が発生することです。

先ほど見てきたようにススやクレオソートなどの有機タールが溜まることで、煙の排出がしづらくなり逆流する恐れがあります。

また、煙突掃除を内部からしただけですと、薪ストーブを使っていない期間に煙突上部に鳥が巣を作ることもあります。

これもススやタール同様に煙が逆流する原因の1つです。

煙突掃除をする場合は、屋根上からもする必要があるのです。

薪ストーブの稼働するシーズン前には、もう一度煙突を内側と外側から確認をしましょう。

煙突掃除をするタイミングは?

煙突掃除は基本的に、薪ストーブを稼働していない春から秋までのオフシーズンに行います。

最低でも1年に1回は掃除をしましょう。

ただし、次の項目に当てはまる場合は、1年に1回とは限りません。

・湿度を含んだ薪を使用する
・針葉樹の薪を頻繁に使用する
・煙突経路の大半が屋外
・煙突がシングル構造になっている
(外気で冷めやすく、煤やタールが溜まりやすい)

上記に当てはまるご家庭は、煤やタール等が煙突内に溜まりやすいので要注意です。

※1年の間に薪ストーブを使用するのが20〜30日未満だと、3年に1回でも良い場合もあります。

また、薪ストーブの燃焼に異常を感じたら、シーズン中でも煙突掃除を実施しましょう!

「春に煙突掃除をきちんとしたにも関わらず、ストーブが燃えにくい」という話をシーズンの始めに聞いたります。 その場合、煙突トップに鳥の巣が作られている可能性があり、屋根の上に登って、巣を撤去する必要があります。

煙突掃除の準備をする

ここでは、煙突掃除に必要な準備物について説明します。

実際に煙突掃除をするのに最低限でも必要な道具は、下記の通りです。

【煙突掃除に必要な掃除道具】

・煤(すす)を入れるビニール袋
・ガムテープ(もしくは養生テープ)
・軍手
・煙突ブラシ(ワイヤータイプもしくは、柄タイプ)
・箒とちりとり

どれもホームセンターで購入ができます。

この中でも特に必要なのは、ワイヤー付きブラシです。

ワイヤーだと徐々に伸ばしていくことで長さを調節でき、中のタールをしっかり掻き出すことができます。

価格帯は1,500〜3,000円くらいです。

ただし、ここで紹介しているのはあくまでも煙突の構造がシンプルな場合に限ります。

煙突構造が複雑になれば難易度も上がりますし、必要な道具も変わるので注意が必要です。

また、屋根上から掃除をする際は上記の他に、

・ハシゴ
・安全帯(腰ベルトではなくフルハーネスが望ましい)

これらの道具も別途、用意しておく必要があります。

煙突掃除の方法

ここからは、いよいよ煙突掃除の方法について説明します。

清掃箇所は大きく分けて2ヵ所あります。

・室内側
・室外側

それぞれ掃除方法を解説していくので、参考にしてください。

室内側の掃除方法

ここでは、壁出し煙突の室内側の煙突掃除の方法について説明します。

室内側の掃除のステップは全部で4ステップです。

1.薪ストーブを横に移動する
2.煙突や室内で気になる箇所にビニール袋をつける
3.ブラシを煙突に入れて上下に動かし、煤を落とす
4.横に掃除ができる場合は、横も同様の手順で煤を落とす

煙突掃除は、事前準備が大切です。

道具はもちろん、室内や清掃者本人が汚れても困らないようにしましょう。

それでは、順番に解説をしていきます。

1.ストーブを横に移動する

煙突掃除ができるように、薪ストーブを横に移動します。

もし取り外せる煙突があれば、この時点で取り外すと落ちてこないので安心です。また、この時点でケガをしないように軍手も着用しておきましょう。

2.煙突にビニール袋をつける

煤が落ちてきても良いように、煙突にビニール袋をつけます。

ビニール袋をガムテープで固定すると、煤をしっかりと受け止めることができます。

煙突の汚れを書き出す時や、薪ストーブ本体の取り外す時に、煤が舞い上がったりするので、必ず養生しましょう。

3.ブラシを煙突に入れて上下に動かし、煤を落とす

先ほど煙突につけたビニール袋の隙間から、ワイヤーブラシを煙突の内部へ通します。

煙突内部にワイヤーブラシを通したら、2〜3回は当たるところまで煙突内部を往復してススを掻き出してください。

4.横も同様の手順でススを落とす

横に掃除ができる場合は、縦向きの時と同様にワイヤーブラシを通してススを落とします。

横向きの場合、煤が溜まりやすいので、先ほどよりも念入りに煙突内部を往復するようにしましょう。

最後に煙突を元に戻して室内側の清掃は完了です。

何度もお伝えしますが、怪我がないように軍手を着用し、集中して作業をしてください。

室外側の掃除方法

続いて室外側の掃除方法について説明します。

室外側は、次のように分けて清掃します。

1.地上から清掃する
2.屋根から清掃する

このように2回に分けて掃除をします。

1.地上から清掃する

地上からの掃除は室内と同様、煙突にビニール袋を固定してブラシでススを落とします。

ご近所のご自宅や車などに、煤が舞い上がって迷惑がかからないように対策しましょう。

室内同様に、ワイヤータイプのブラシがおすすめです。
奥までブラシが届き、広範囲に掃除することができます。

2.屋根から清掃する

次に屋根に登り掃除をします。
この時に、主に掃除する箇所は煙突の外側です。

ここで注意していただきたいのは、安全の確保をすることです。

屋根の上ということもあり、高所帯での作業になります。
必ず安全帯を体と煙突につけましょう。

煙突の外側に付着している煤を、ブラシや雑巾できれいにしていきます。

この時に無理して煙突トップを外す必要はありません。
安全の確保を優先しましょう。

以上、2ヵ所が室外側の掃除方法です。

繰り返しになりますが、高所帯での作業になるので、無理はしないようにしてください。

屋根出し煙突の場合の清掃方法

先ほどまでは、壁出し煙突の掃除方法について見てきました。
ここでは、屋根出し煙突の場合の掃除方法についても簡易的に説明します。

①煙突のジョイント部分を取り外す

まずは、煙突のジョイント部分を取り外します。

②煙突にビニール袋をつける

壁出し煙突の時と同様に、煤が落ちてきても良いように煙突にビニール袋をつけます。
ビニール袋を養生テープで固定することで、煤を1ヵ所に集めることができます。

③ブラシを煙突に入れて上下に動かし、煤を落とす

専用の煙突ブラシに柄をつなぎながら煙突内に差し込んでいき、数回ほど上下させます。

透明のビニール袋を使用することで、どれだけの煤が落ちてくるかも分かります。

そして、不完全燃焼の度合いが高い時に発生するタールも目視できるので、正しく使えているかも判断しやすいでしょう。

最後に煙突を元に戻して室内側の清掃は完了です。

煙突掃除のポイントや注意点

ここでは、煙突掃除のポイントについて説明します。

煙突掃除する際は、次のポイントを意識してください。

・マスクを必ず着用
・ススで汚れてもよい服装で
・薪ストーブのシーズン前に掃除する
・安全対策を十分に練ってから掃除する

煙突掃除をする時は、マスクは必ず着用しましょう。

煤を吸い込んでしまうと人体に有害だからです。

咳き込んだり、痰が絡むなどの症状を引き起こすこともありますし、細かい微粒子状のものが肺の奥に入り込むことで、呼吸器系にも悪影響を及ぼしかねません。

そして、屋根上に登る時は安全の確保も大切です。

必ず安全対策は施しましょう。

また、そもそも大前提としてお伝えしておきたいことがあります。

それは、「我流でしないこと」です。

ここまでで煙突掃除の方法について説明をしてきたのに「なぜ?」と思うかもしれません。

それは、我流でやることにより、思わぬ事故やケガをするリスクを孕んでいたり、知らない内に煙突を傷つけて、使用できる期間を縮めてしまいかねないからです。

「きちんと専門家から習う」ことが大切です。

『THE FUN house』では、薪ストーブ付きの家を建てたオーナー向けに、煙突掃除の勉強会を開催しています。

煙突掃除は専門業者へ依頼した方が良い?

結論から言いますと「どちらが正しいかはない」です。

一般家庭と専門業者が煙突掃除をするのとでは、道具や時間、清掃の仕上がりも違います。

ここでは、セルフ清掃が向いている人と、専門業者へ依頼した方が良い人の特徴について解説します。

ご自身で清掃するか、専門業者へ依頼するのか目安として参考にしてみてください。

セルフ清掃が向いている人は?

ご自身での清掃が向いている人の特徴としては、次のような人が挙げられます。

・煙突掃除を楽しめる人
・登りやすい屋根の家を所有している人

やはり、煙突掃除そのものを楽しめる人は、セルフ清掃が向いていると言えます。

煙突掃除は面倒なイメージを持たれている人も多いはずです。

実際にそのイメージ通りで、石油ストーブなどの他暖房器具と比較しても薪ストーブのメンテナンスは時間も労力もかかるもの。

その手間すらも乗り越えて愛着を持って掃除できる人は、ご自身で清掃すると良いでしょう。

また、屋根の傾斜が緩くシンプルな構造の家は登りやすいです。

そのため、清掃がしやすいと言えます。

専門業者へ依頼した方が良い人は?

専門業者へ依頼した方が良い人の特徴としては、次のようなことが挙げられます。

・煙突掃除がめんどくさいと感じる人
・屋根の構造が複雑で登りにくい家に住まわれている人
・ご自身での煙突掃除が難しく不安に感じる人

先ほど解説した特徴とは、反対の考えや立地条件で住まわれている人が該当します。

この他にも、インターネットなどで検索しても掃除方法が分からなかったり、高齢になって掃除できなくなったりする場合などもあるはずです。

このような場合も含めて、専門業者へ依頼をすると良いでしょう。

専門業者に依頼した時の費用は?

では、専門業者へ依頼した時の費用はいくらかかるのでしょうか。
気になる煙突掃除サービスの相場ですが、一律では言えません。

なぜなら、次の場合もあるからです。

・煙突掃除のみの場合
・本体のメンテナンスまで含んでいる場合
・交通費・交換消耗品も含める場合

このように各社のサービス内容によって異なるのです。
相場としては、およそ2〜5万円の間に収まる傾向のようです。

繰り返しになりますが、「セルフ清掃」と「専門業者への依頼」どちらが正解かなどはありません。

ご自身の状況に合わせて、正しくメンテナンスをしてください。

薪ストーブの煙突掃除のまとめ

これまでに煙突掃除するメリットやデメリット、掃除するタイミング、掃除方法などについて解説してきました。

薪ストーブの魅力には、

「暖かみのある炎を楽しめる」
「炎の揺らめきでリラックスできる」
「高音を活用して料理ができる」

このようなものがあり、おしゃれなスローライフ生活を送れるイメージを持たれている人も多いはずです。

しかし、その裏では薪材の準備や稼働するまでに体力や時間も使うので、手間のかかる暖房器具でもあります。

そうすると、イメージだけで薪ストーブを購入して後悔したなんてことにもなりかねません。

ただ、可愛い子どもほど手がかかるのと同じように、メンテナンスに手間が掛かるほど、愛着が沸くのが薪ストーブの魅力の1つでもあります。

そんな手間のかかる薪ストーブの煙突掃除ですが、もうすでに家を建てて薪ストーブをお持ちの方で、

「自分で煙突の清掃をしてみたい」
「清掃方法がよく分からないから習いたい」

こういった方もいるのではないでしょうか。その場合は、まず購入先の薪ストーブ屋さんに聞いてみてください。
保証もあるはずです。

また、これからご自宅を計画中の方は『THE FUN house』がお役に立てます。

『THE FUN house』の家は、薪ストーブの家に合う漆喰壁、杉の床・天井、セルロースファイバーが標準仕様の自然素材の家です。

「家は建ててからが本当の始まり」という想いで取り組んでいますので、薪ストーブの使用方法からメンテナンスの仕方まで丁寧にお伝えします。

モデルハウスや完成見学会では、薪ストーブの魅力や自然素材の家の心地良さなど肌で感じていただけるはずです。ぜひ一度、ご来場ください。

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